原色の街 荒木経惟 アラーキー 人気

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アラーキーの愛称で知られる、日本を代表する写真家・荒木経惟の写真集『原色の街』。本書は、1992年に刊行され吉行淳之介の小説『原色の街』の写真化を試みた作品集。1982年に刊行した写真集『美登利』では、樋口一葉の『たけくらべ』を題材に写真を撮っていますが、同じく娼婦が登場するこの小説の舞台となった鳩の街(東京)にはその面影がなく、荒木はその現場を求めて大阪へと赴き、撮影を行っています。「妻をなくして、空景、近景をモノクロームで写しつづけ、そして色景に入った。すごく色がほしかった、それも原色が」と冒頭で述べていますが、妻・陽子を亡くし、その心情を投影するかのようなモノクロームの世界から、カラフルな大阪の雑踏へとカメラを向けた荒木。心斎橋、通天閣、色街といった大阪の情景、また出会った人々をカラーで写し出し、ある女性(人妻K)との逢瀬には小説的な情緒を感じさせます。荒木の代名詞でもある東京とは異なる、大阪のエネルギーや猥雑さを随所に感じさせながら、3泊4日のセンチメンタルな旅が閉じ込められた1冊です。

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